「給食を残す」無理やり食べさせることに意味はあるのか?

1.給食を残すのは悪いこと?

先生によって、給食を残すことは悪いことだと生徒に教える人もいます。

例えば、こんな体験談があります。私の身内が小学生だったときの話です。先生は「世界には食べられない人たちがたくさんいる」と生徒に説明し、給食を残すことを許しませんでした。生徒は給食を残していたらお昼休みの時間になっても、1人だけ教室に残され完食するまで無理やり食べさせられました。

この指導方法の問題点を出すのに、まずは、文部科学省の指導手引を確認してみます。

2.文部科学省の指導の手引を確認

文部科学省の『食に関する指導のの手引-第二次改訂版-(平成31年3月)』の「第五章 給食の時間における食に関する指導」には、次のように書かれています。

小学校

小学校では、例えば、望ましい食習慣の形成を図ることの大切さや、食事を通して人間関係をより良くすることのよさや意義などを理解すること、給食の時間の楽しい食事の在り方や健康に良い食事のとり方などについて考え、改善を図って望ましい食習慣を形成するために判断し行動することができるようにすることが考えられます。

そのような過程を通して、主体的に望ましい食習慣や食生活を実現しようとする態度を養います。(p221)

中学校

中学校では、例えば、健康や食習慣の正しい知識が大切であることを理解し、給食の時間の衛生的で共同的な楽しい食事の在り方等を工夫するとともに、自らの生活や今後の成長、将来の生活と食生活の関係について考え、望ましい食習慣を形成するために判断し行動ができるようにすることが考えられます。そのような過程を通して、健康な心身や充実した生活を意識して、主体的に適切な食習慣を形成する態度を育てます。(p221)

3.無理やり食べさせることの問題点

文部科学省の手引きを確認してみて、この指導の方法には次の問題点があることがわかります。

  • 食べることの意義(健康のために栄養をきちんととるなど)を説明せずに、ただ「食べなさい」と言っても、生徒が主体的に望ましい食習慣を実現しようとする態度を養うことはできない。
  • お昼休みの時間まで食べさせることは、食べることにたいして、嫌なイメージを抱かせてしまうかもしれない。

このことから、無理やり食べさせるのではなく、生徒とコミュニケーションをとりながら、栄養や健康などについて説明し、アプローチしていく必要があるでしょう。

また、「世界には食べられない人たちがたくさんいること」と「生徒が給食を残すこと」に、なんの関係もないことは、手引きを確認しなくても明らかです。